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2016.10.08
【声も楽器ってカッコイイ!】『LemonDrop』
【最後はご乱心させていただきます。】
この曲は、歌詞がありません。
全部スキャットです。
声を楽器のようにしてアドリブするんです!
ジョージ・ウォーリントン(George Wallington)作曲のバップ様式のスタンダード。
エラ・フィッツジェラルドが1973年夏に録音し、
それは今でもインプロヴァイゼーション(=アドリブ、即興)の指導に使われているそうです(ジム・ハスキンズ著『エラ・フィッツジェラルド』より)。
私が好きな一枚、『NEWPORTJAZZFESTIVAL LIVE AT CARNEGIE HALL』にも収録されています。
”これが出来たんだったら、どんな曲でも大丈夫!”って思えるようになった曲です。
この一枚について、’87年ダン・ゲイリーが『ジャズ・エデュケイターズ・ジャーナル』が述べていることについて紹介されていました。
「インプロヴァイゼイションを真剣に学ぶ者は、エラのそれから多くを学びとるだろう。
注意して聴けば聴くほど、彼女のソロが偉大なビバップのインストゥルメンタル・ソロイストたちにどれだけ似ているかがわかるからだ。
比較的シンプルに始まり、徐々に荒々しい音符の流れへと変わっていく彼女のソロは、多くのトランペット・プレイヤーの演奏に酷似している。」
そのあとに、細部にわたるトランスクリプション(訳注ある楽器用に書かれた曲を別の楽器[この場合は声]用に移し替えること)-
可能なかぎり細かいスキャットのシラブルのトランスクリプションーと、
「彼女の驚くほど完成された反復進行・・・・・・フラグメント(断片)の使用・・・・・・同音フレーズの扱い」についての譜例が続く。
(ジム・ハスキンズ著『エラ・フィッツジェラルド』より)。<10/10追記>
ジム・ハスキンズの著書によると、
1947年、エラは一緒に巡業へ回っていたディジー・ガレスピーの影響でビパップに転向したそうです。
元々、エラ自身スキャットはしていたのですが、
より他の楽器と同じように声でソロをとり、インプロヴァイズに特化していったのかと思います。
※ディジー・ガレスピー
ビバップは彼女(エラ)に啓示を与え、カリプソに進出したとき以来の挑戦を感じさせた。
「ほんとうのところ、わたしはそうやってバップというスタイルを学んだんだと思います。すごい経験でした。
それに彼はいつもわたしに言っていました。『ステージに上がって、一緒に歌えよ・・・・・・』って。
あれでバップのほんとうの歌いかたをおぼえたんです」(ジム・ハスキンズ著『エラ・フィッツジェラルド』より)